ウィル・ローガン「Every flower needs a name」

2021. 10. 17 Sun - 11. 14 Sun

MISAKO & ROSENでは、ウィル・ローガンの個展「Every flower needs a name」を開催いたします。
ウィル・ローガンは長らくサンフランシスコで活動するアーティストとして知られていました。現在は、バーモント州に移住し制作活動を行なっています。
これまで、ローガンは、2014年にバークレー美術館で開催された「MATRIX 253」展や「A Twice Lived Fragment of Time」(カリフォルニア大学アーバイン校、2013)そして「Curtain」(Objectif Exhibitions、アントワープ、2012)など重要な展覧会に参加しています。
日本国内の美術館では、MISAKO & ROSENにおける展覧会に加えて、2007年に森美術館で開催された「笑い展:現代アートに見る「おかしみ」の事情に参加しています。

ウィル・ローガンの今回の展覧会は、彼がマジックや手品──娯楽の形ではなく親密な体験としてのそれ──に寄せる関心と何らかの形で関連しています。アートがしっかりと機能するとき、そこには物事を変形させる力が生まれますが、マジックや手品はその類例なのです。ここでは、錬金術的な側面のひとつが、スカルプチャーからペインティングへの変形として現れています。私たちのギャラリーがその舞台となっていることは、目的に適していると言えるでしょう──物理的な空間としてのみならず、美的な文脈においても(私たちのギャラリーと関係を培うなかで「ペインターになった」アーティストには有馬かおるやマーガレット・リーなどがいます)。ローガンはいつも、ファウンド・オブジェクトを用いつつ、そこから意味を生成させることに熟練した腕前を発揮してきました。本展において彼は、手元の材料に美的な転化を施すことで、ペインタリーな領域に足を踏み入れることなしにペインティングとしての質を表出させています。独自の特異性を持つそれぞれの作品は、垂直的な宙吊りの多様な段階や視角の推移を通じて、ペインティングの空間性を提起するのです。示唆性に富むコンセプチュアルなコンテンツ──動物の姿、鍵、指──を伴った一連の形体の反復は、ローガンのこれまでの作品において具象的な形象が担っていたような重みを帯びていますが、本展において観者は、この場にしっかりと繋ぎ留められながら、ペインティングの体系と正対することになります。