マーガレット・リー「(as) hard as (it) gets」

2022. 3. 6 Sun - 4. 3 Sun

MISAKO ROSENでは、二回目となるマーガレット・リーの個展「 (as) hard as (it) gets」を開催いたします。
マーガレット・リーは、1980年ニューヨーク生まれ、現在もニューヨークで活躍しています。

「極度に硬直したとき、それでも踏ん張ることで、人は状況の向こう側に到達できる。特定の愛着や添付にはときに異論が突きつけられる。どちら側に付くのかを決めるときのように。自己開示の彼方に見出された親密性は貞操を要求するけれど。実践的な作業が描線や導線を支え、関係性が転移可能性を確かにする。押し引きは決してあなたに落胆をもたらさない」

マーガレット・リーがMISAKO & ROSENで開く二度目の個展である本展では、ペインティングがふたつずつペアを組んで展示されます。どのペアも互いと同じ大きさで、表面のマーキングも共通です。一連のマーキングは上層のバリアとして、下層のジェスチュラルな所作は抑揚のある押し戻しとして読まれるべきものです。肩を寄せ合うように壁に掲げられた2枚は、単に似ているのではありません。そこにはひとつの関係性があります。互いを模しているようで、画面のぐらつきは異なっているのです。隣接性が一対一の対比を促すと思いきや、そうもいきません。両者の間には壁掛けの彫刻が割り込んでいるのです。それは2枚のペインティングを結ぶ仲介役、ふたつの抽象を繋ぐ具体的な形体であり、作家が最初期に取り組んでいた彫刻制作の実践──ざらついた材料を流麗に仕上げられた物体へと変身させること──への回帰を示すかのようです。以前の彫刻作品は具象的な忠実性を理念化していましたが、これらの作品は剥き出しの形体を持ち、彼女のペインティングの抑制された色使いがそのまま反映されています。磨き上げられた表面を乱雑な釘やネジで乱すことで、インスタレーション全体の平面性に新たな次元性が加えられています。忌避もしくは愛着への関わり方や、線が引かれるという事態の捉え方によって、6点のペインティングと3点の壁掛け彫刻との関係性はそれぞれの鑑賞者に異なる姿を見せるでしょう。