スティーブン・G・ローズ「Half Filled」

2023. 1 .15 Sun - 2. 12 Sun
オープニングレセプション 2023. 1. 15 Sun 14:00 - 17:00

ローズの当ギャラリーにおける4度目の個展「Half Filled」で発表されるのは、ペインティング(絵画)の変幻とドリンキング(飲酒)の工程の混同をめぐる継続中のシリーズから選ばれた作品群です。ドリンキングはペインティングを代理し、逆もまた然り。両者ともかつては動詞でしたが、やがて正真正銘の名詞──綺羅びやかな文化への寄与と歴史的な毒素の摂取を表すもの──へと活用変化を遂げました。どちらの習慣(規律)も、たとえ消尽があからさまでも、ふてぶてしく再発を繰り返します。そこでは、プレジャー(快楽)とペイン(苦痛)のリハビリテーションと死が引き換えられるのです。それらはペイン・ティングであり、自己主観的で自己生成的な、閉塞的な経験ではありません。アルコール(スピリッツ)はペインティングの物質的な仲介物ですが、飲酒のイコノグラフィ自体もペインティングの全歴史に渡って浸透しています。表象はどんなときも毒だらけの不安に満ちていたのです。謎めいた液体の消費、処理、共有の記号性を伴わない場合でさえも、希釈された、蒸留された、塗られ染められた物質的実体が私たちに供与されます。容積を満たしたあと、それはただ枯渇、乾燥するのみです。苦悩を吟味するために。ドリンキングは、ペインティングと同じく、心に決めたことを増幅させ、思い上がりを誘います。その影響下で葛藤に満ちた暴飲暴食、歓喜、処罰、命令のステージを実演していた芸術家たち──ゴヤやマティスから、瘴気を散らすために長い筆を使っていたベラスケスまで──には、夥しい量の見当違いの仄めかしが見られます。延々と続くスフマートと倒錯したカンジャンテのなかで、引用は消息を絶ちます。画面の配色は、回復途中の酒飲みたちが描写した紫の象やピンクの鼠、あるいは潰された果物から作られた顔料を思わせます。他の例では、ある物塊の規律が抽象をもたらしています。そこでは主体の痕跡はすべて揉み消され、残るのは疎外された作者性のみです。それは連続的な再発の最中で作成されます。繊細な反復の波間で二日酔いに陥りながら。それはどんちゃん騒ぎの最中、グルグル回る渦巻きにおいて作成されます。媒体と支持体を介して生き延び、モデルの姿を象りながら。それは朧気な周縁に転置され、あるいは粘着質の滴へと再び注入されます。それは積み重ねられ、引き止められ、分配され、浸出され、拡散され、汚染され、掻き回されます。それは囲まれ、それは巡り巡り、それは取り下げられ、それは干上がり、切り抜かれ、それは引き伸ばされ、それは縛られ、それはプレジャーとともに、誤ってペインをもたらすまで発酵され、それは恥ずかしめを受け、貯えられます。追加で再注文されるまで。おかわり。半杯。ドリンキングをペイントするのです。ペインティングをドリンクするのではなく。

S.G.R. 2023年 東京

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