有馬かおる「FAUST IN MARIENBAD by The quest for Art」
2020. 7. 15 Wed - 8. 9 Sun
夏季休廊:8. 12 - 8. 18
この度MISAKO & ROSENでは、有馬かおるの3度目の個展「FAUST IN MARIENBAD by The quest for Art」を開催いたします。有馬による近年の主な個展とグループ展にはパリのEmmanuel Perrotinにおける「RESTONS UNIS: YOU’LL NEVER WALK ALONE」(Edouard Montassutを介して、2020)、パリのEdouard Montassutにおける「FAUST IN MARIENBAD」(2019)、ニューヨークのQueer Thoughtsにおける「To See」(2018)、宮城県の「Reborn-Art Festival」(2019/2017)があります。過去に参加した重要な展覧会には水戸芸術館現代美術ギャラリーにおける「夏への扉 - マイクロポップの時代」(2007)、ピッツバーグのカーネギー美術館における「54th Carnegie International」(2004)、ミネアポリスのウォーカー・アート・センターにおける「How Latitudes Become Forms」(2003)があります。
今回の展覧会を構成するのは、有馬の代名詞ともなっている一連の「古典的な」媒体 ― ペインティング、ドローイング、彫刻 ― による作品群です。注記すべきなのは、有馬がかなり遅い時期に、アーティストとしての仕事を積み重ねたあとに絵画や彫刻への取り組みを開始した作家であるということです。新聞紙を支持体とする漫画的かつ日記的なドローイングによって、さらにはArt Drug Centerとしての活動によって、有馬はすでに1990年代中頃に国内外で注目を集めていました。彼は現在も、震災後の石巻において文化的な発展の一翼を担う新生Art Drug Centerの代表として他のアーティストたち(いまや彼より若い世代の面々となっています)の活動を引っ張りながら、移り気なドローイングの制作も継続していますが、近年において有馬と彼の作品を愛する人々の主な焦点は、ペインティングによる肖像画へ、そして古典的な問題系を継承しつつもより純粋な触覚性を帯びている彫刻へと向かっています。有馬は、パーソナルな要素を強く孕んだ独自の実践をすでに完成させていた状態から、特定のイデオロギーから自由な形で、ペインティングや彫刻という媒体にアプローチしたことになります。その帰結として、彼の作品は、形態とエネルギーの両面において、より若い世代のアーティストたちの作品との親近性を帯びることになったのです。そしてまた有馬は、自意識に妨げられることや恥ずかしがることもなく、真っ白な目で絵画の描き方や彫刻の作り方を身につけてきました。ヨーゼフ・ボイス的な見解を転回させるように、身を以て「どんなアーティストでもペインターになれる」ことを示しながら。