安村崇「1/1」

2012年5月13日(日) - 6月10日(日)

オープニングレセプション(サンデーブランチ)5月13日(日) 13:00-16:00
※オープニング当日は日曜の通常営業時間通り17時までとなっております。

この度MISAKO & ROSENでは、安村崇の個展を開催いたします。2008年のグループ展につづき、弊廊では初個展となります。
安村崇は1972年滋賀県生まれ。1995年日本大学芸術学部写真学科修了。現在、東京にて制作活動を行っています。
主な展覧会にパルコミュージアムでの個展(2005年)、森美術館主催の「六本木クロッシング」(2004年)「JAPAN Contemporary Ceramics and Photography between Tradition und Today」Deichtorhallen Hamburg(2003年)などがあります。また安村の代表作とも言える「日常らしさ」は日本の写真の中でも最も重要な刊行物のうちの1つとして広く認められます。

現在の展示は完全に新しい作品から成り立っています。新作/シリーズについて言えば、安村は次のように言っています。

「1/1」とはサイズの比率を示すだけではなく、現実とそれを表わしたものとの関係と捉えることもできそうだ。実際に眼の前にあるものと、それをファインダー越しに確認するものとの同一感の不在に、 母型としての現実と、 同じ「1」だけれど「/」というカメラを通したもうひとつの「1」の存在を感じることができる。
そして、写真となった「1」はその出自を出奔する。画面から思わせぶりな奥行きは消え去り、それを追う視線は表面に留まる。

「日常らしさ」では、安村と対象との間には一定の距離がありました。したがって、そこに写し出された要素を読み解くにあたって、観客は、日本における都市生活という特定の文脈を強く意識することになります。今回のシリーズでは、安村の視点はよりミクロになり、写し出された細部は抽象に限りなく近づいています。イメージは特定の文脈を失っていますが、だからこそ、そこにはより多様な読解の可能性があります。見慣れたものであるはずなのに、どこか不気味な風景。「1/1」を構成するそれぞれの写真は、安村によるこれまでの実践を引き継ぐと同時に、新たな展開を示すものです。