森本美絵「Single Plural」
2009年8月3日(月)- 9月13日(日)
オープニングレセプション 8月3日(月)18:00-22:00
森本美絵は、1974年岡山生まれ、1997年東京造形大学卒業。
在学中に写真を学び、現在も東京を拠点に制作活動を行っています。
主な展覧会に、2008年に資生堂で開催された「夢の饗宴 歴史を彩るメニュー現代のアーティストたち」展、「現代美術の展望ー新しい平面の作家たちVOCA展2007」展などがあります。また、MISAKO & ROSENでは、2007年に写真家で映像作家の茂木綾子との二人展を開催しました。
2009年の秋には、横浜市青葉区での「AOBA ART」に参加予定です。
森本の写真作品の中で最も特徴的だと思われるのは、写真の中に風景や実際の対象が抽象化されて定着されているという事です。ひと世代前の先輩写真家たちが何か特定の描写を強調するような表現に重きを置いたのに対し、森本の写真は写真自体にニュートラルな見地を盛り込んでおり、それによって逆に写真の持つイメージが強調されて見える効果を生んでいます。
そのような例は、2004年に自費出版された写真シリーズ「slicer」においても見ることが出来ます。「slicer」の中で、森本の撮影する写真群は撮影場所も、撮影される対象もバラバラで脈略がなく、一見お互いに関係性を持っていません。しかしながらこのイメージ群をシリーズとして通して見る事により、写真群の中に特別で抽象的な意味が立ち上がってきます。
今回の展覧会において、森本は「Single Plural」という写真シリーズを発表いたします。「Single Plural」とは、ひとつでありながら複数であるという意味です。
森本は、これまで密かに何年にも渡って撮り続けてきた「自分の家族」の写真シリーズを、今回初めて発表します。森本はそれを、解りやすい家族への愛情や感情といったものではなく、家族という対象を、ひとつであり、尚かつ複数の集合体であるという見地から切り出そうとしています。ひとつのイメージを、別の時期に別のカメラで撮影した関係のないイメージと組み合わせ、一つの印画紙の中に定着させようと試みます。それによって別々の対象が一つに重なり合い、それぞれの持つものとは全く異なった新しい空気をそこから立ち上がらせます。今回は、このプロセスをすべて手作業で行い、ひとつのシリーズを完成させてゆきます。この機会にどうぞご高覧下さい。