南川史門「ピンクとブラック、戦争と平和」
2008年4月14日(月) - 5月25日(日)
オープニングレセプション 2008年4月14日(月) 18:00~20:00
南川史門は1972年東京生まれ。現在も東京にて制作活動を行っています。
1999年、東京オペラシティーアートギャラリーの「project N」展の第一回目のアーティストとして個展を開催。主なグループ展に2007年にインマンギャラリー(テキサス、ヒューストン)で開催の「dreaming, faraway」、2006年ギャラリーループにて開催の「オリエンタルメタフォー」があります。
南川史門は、イラストレーションという言語を使って、絵画に内在する抽象性に取り組むアーティストです。彼の作品タイトルは、その内容に基づいた文字情報でありながら、その情報は往々にしてあまりにも一般的で、漠然としています。(例えば、『白いシャツの人』『ピンクにピンクとニュースキャスター』など。)結果として、見る者はピントの合わないまま、作品と対峙することになります。ここで起きている意味の空洞化が、同様に、形の上でも起こるのです。なぜなら彼が私たちに提示しているのは、完結したペインティングではなく、むしろその先に存在するペインティングの可能性を、抽象化あるいはイラスト化したものなのだから。
今回の展覧会で彼は、「戦争と平和」をテーマに掲げています。具象的なモチーフと壮大なテーマは、空洞化するためだけに使用されています。コンテンツはあくまでも自己を投影し、喪失するための道具に過ぎないのでしょう。
TVで常に報道されているニュースには、単純な情報とともに社会的なニュースが多くみられます。こういった場面を目にする状況から、南川は、自分がリアリティーと非リアリティーの中に生きている事を意識し始めました。それはニュースに含まれているような世間の出来事が悪かろうが良かろうが、ビジュアルを通しての印象が先行してしまう矛盾点に着目しました。しかしそれはメディアがなかったら知る余地も観る事もないというリアリティーでもあり事実なのです。
そうした意識の中で南川は、身近で起こっているにも関わらずしっかりと言い表せない現実との距離感を日記のように描き止める作業を続けてきました。それと同時に、描く構図、モチーフは絵画独自の問題であることにも気がつきました。そうして目にしたビジュアルや事実が絵画により表現されどんどん抽象化されて行きました。
新作はこういったエピソードから生まれていきました。今回は新作絵画を発表いたします。
この機会にどうぞご高覧下さい。