リチャード・オードリッチ「Dimension Door」
2025.3.15 Sat - 4.20 Sun
展覧会会場: Fig. (2F)、 MISAKO & ROSEN (1F)
オープニングレセプション : 3.15 Sat 16:00 - 18:00
ヴァン・モリソンの曲「And It Stoned Me」に、「that dimension fishing pole (あの次元の釣り竿)」と言っているように聞こえる一節がある。あるいは、「dimension fishing hole (次元の釣り穴)」と言っているのかもしれない。どちらにしても、その歌詞が何を意味するのかわからないが、私はその歌詞がずっと好きだった。次元を越える釣り竿、あるいは釣り穴とは何なのだろうか?どのような見た目をしているのか、あるいは一体何をするのだろうか?
この展覧会のタイトルは、「Dimension Door」だ。これは、2023年のdependenceでの私の個展の続編のようなものだ。その展示は、絵画作品に加えて、ギャラリーに私が作った小さな部屋に通じるカーペットでできたドアが設置されていた。その部屋は、異なる照明や、微妙な音の変化があり、他のオブジェクトなどが配置されたギャラリーとは別の空間だった。ドアがカーペットだったのは、アイデアの一部として、体が地面と平行になるようにカーペットの上に足を踏み入れると(壁が床になる)、入り口がアクティブになり、部屋に入ることができるというものだったからだ。もちろん、誰も実際にこれを行うことはできず、カーペットのドアを通り抜けてその部屋に入るしかなかった。 Misako & Rosen にもカーペットのドアと別のスペースがあるが、ドアの後ろには実際のスペースは無く、「別のスペース」は別のギャラリーになっているため、「ドア」はさらにあくまでも理論上のものとなる。
ある時点で、大学時代のバンド(私とルームメイトがメンバー)の音楽を展示に含めるというアイデアが浮かんだ。メンバーのうちの何人かはコンピューター技術者だったので、初期のデジタルサウンドレコーディングソフトウェアを使うことができ、また、当時は非常に新しい技術であったCDRを焼くことができた。ほとんどは冗談めいた即興の一発勝負の曲だったが、とても楽しく、本当に気に入った曲もあった。約 2 年間で、合計 5 枚のアルバムを制作した。
展示で再生するトラックを考える際、アルバムの番号 (1枚目、2枚目、3枚目) に従って曲のリストを作ることにした。当初は、昼間の20分間で全曲を再生しようと思ったが、曲リストの構造を見ると、アルバムのリリース順(番号)を時刻として使用して再生する方がより理にかなっていると考えた。
いつもは、歌手が実際に何を歌っているのかわからない不確実性が好きなのだが、ヴァン・モリソンの歌詞を調べてみようと思った。どうやら、この歌の意味について議論がされた際、彼は、子供の頃の思い出や、その頃の感情や気持ちの魔法について歌っていると言っていたようだ。また、大人が子供の頃の気持ちに近づくことの難しさ、その好奇心がこの上なく幸せなこと、そしてそれらをすべて当然のこととして受け止めている感覚についても歌っているようだ。