竹崎和征「続・東海道 新風景」
2011年8月7日(日) - 9月11日(日)
オープニングレセプション(サンデーブランチ)8月7日(日)13:00-16:00
※オープニング当日は日曜の通常営業時間通り17時までとなっております。
竹﨑和征は1976年高知県生まれ。1999年高知大学教育学部を卒業後、東京に拠点を移し現在も制作活動を行っています。本展は、MISAKO & ROSENでは2回目の個展となります。竹﨑は、2010年には「VOCA展2010 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」(上野の森美術館)に出品。そして本展と同時期には「東海道 新風景 ― 山口晃と竹﨑和征」展(ヴァンジ彫刻庭園美術館)に参加中です。同展は、歌川広重の作品ならびに実際の東海道を現代の文脈から再考する、クレマチスの丘(静岡)にある三館で同時開催される展覧会のひとつとなっています。
本展「続・東海道 新風景」に出品される作品群は、ヴァンジ彫刻庭園美術館で展示中の作品群とよく似た制作プロセスを経たものです。その画面は、静岡を旅している間に出会った風景(天城、三島、丸子など)の直接的な描写ではなく、訪れた地で竹﨑が体感した経験や、テーマ的にまったく関係のない別の風景を複合的に織り交ぜることで作り出されています。結果として出来上がる作品群と、歌川広重による有名な浮世絵木版画の連作《東海道五十三次》との間には、よく練り上げられた繊細な関係性が構築されます。また、それらの作品群は、東海道の風景が持つ可能性を延長・拡大する試みでもあります。だからこそ、竹﨑が今回提示する作品は「54」という番号から始まるのです。
形式面の展開として、竹﨑は、これらの作品において、ドローイングから切り抜いたカットアップを自在に組み合わせています。彼の関心は、ひとつの風景に対して、それを眺める複数の視点を同時に提示することではありません。むしろ竹﨑が探求するのは、五感をコラージュすること、ひとつのイメージの中に、複数の場所の痕跡をモチーフの風景と切り離せない形で織り込むことです。竹﨑自身の言葉を借りれば、このようなプロセスは、足し算ではなく掛け算に近いアプローチだと言えるでしょう。もうひとつの要素は、インスタレーション的な手法による絵画の拡張です。ヴァンジ彫刻庭園美術館と同様、MISAKO & ROSENにおいても、一時的な滞在やその場かぎりの思考を反映するような構築物が仮設されます。本展の舞台となった場所を竹﨑が実際に訪れたときに出会った様々な物たちが、束の間の空間を構成します。
本展は、三保・由比(ともに静岡市)・千本浜・戸田(ともに沼津市)の風景をモチーフとした新作を通じて、引き続き、東海道を再考する可能性を探求するものです。ヴァンジ彫刻庭園美術館に出品された作品群が「水」を主要なテーマとして扱っているのに対して、今回展示される作品群は、空や光といった要素を抽象的に捉える試みとなっています。
同時開催中
「東海道 新風景 ― 山口晃と竹﨑和征」
2011年8月30日まで ヴァンジ彫刻庭園美術館
http://www.vangi-museum.jp/kikaku/110424.html